【目的】頚部皮膚小切開を介した直視下頚動脈直接穿刺によるcarotid artery stenting(CAS)を施行した一例を報告する.【症例】一過性の構音障害と右麻痺にて発症した83歳男性.MRIでは左大脳半球に小梗塞が散在し3D-CTAでは左頚部内頚動脈に90%の狭窄を認めた.高齢の症候性頚部頚動脈高度狭窄でありCEAよりもCASが適当と考えたが,本例はaortic archがtype III であることに加え,大動脈の動脈硬化が高度で通常の動脈アプローチ法はリスクが高いものと考えられた.そこで本例に対し皮膚小切開を介する直視下総頚動脈直接穿刺によりCASを行った.本法では直視下の確実な動脈穿刺に加え,シース抜去時の確実な止血が可能であった.【結論】直視下頚動脈直接穿刺によるCASは従来の経皮的頚動脈穿刺より安全に行い得る優れた方法である.