Journal of Neuroendovascular Therapy
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症例報告
後拡張手技を行わない頚動脈ステント留置術後の過灌流状態においてくも膜下出血とステント閉塞を来した1例
佐藤 公俊鈴木 祥生倉田 彰阿部 克智岡 秀宏藤井 清孝
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2013 年 7 巻 4 号 p. 259-265

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抄録
【目的】頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)後の過灌流状態において,くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage;SAH)を来した1例を報告する.【症例】71歳,男性.症候性の左内頚動脈狭窄(NASCET 95%)に対してCASを施行した.ステント留置後の最小血管径は31 mmで,残存狭窄(NASCET 45%)を認めたが,術後過灌流が懸念された症例であることから,後拡張は行わなかった.治療6時間後に,病変側の局所酸素飽和度の上昇と,頭痛,嘔吐を認めた.その後の頭部単純CTで,左前頭葉および頭頂葉の脳溝に沿って高吸収域を認めた.Single-photon emission computed tomographyで,左前大脳動脈および中大脳動脈領域の血流増加を認めた.治療72時間後の頭部MRI FLAIR画像で,CTと同部位に高信号域を認め,SAHと診断した.CAS 9日後にステント閉塞による脳梗塞を来した.【結論】CAS後にSAHを発症する頻度や機序を明らかにし,その診断・治療方法さらにその予防方法を確立するためにも,今後の症例の蓄積が必要である.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会

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