抄録
【目的】くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage;SAH)で発症した脳底動脈分岐部破裂脳動脈瘤に対し,Yステントテクニックで瘤内コイル塞栓術を行った2例を報告する.【症例】症例はいずれも突然の意識障害で発症したSAH(Hunt & Kosnik grade 5)で,脳底動脈分岐部にwide-neck破裂脳動脈瘤が確認された.保存的加療でgradeの改善が得られ,血管内手術を施行.手技は片側後大脳動脈から脳底動脈にステントを留置した後,ステントのcellを通して対側後大脳動脈から脳底動脈に2本目のステントを留置してY字形状とし,母血管温存下にコイル塞栓を行った.2例とも瘤内塞栓が可能で,術後明らかな虚血性合併症はみられず,リハビリテーション病院へ転院した.【結論】Yステントテクニックはwide-neck分岐部動脈瘤に対する治療法として有用であった.