抄録
【目的】冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting;CABG)術前に指摘された無症候性両側頚部内頚動脈高度狭窄症に対して,両側頚部内頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)を施行した1例を報告する.【症例】60歳,男性.CABG術前検査の頚動脈エコーにて無症候性両側頚部内頚動脈高度狭窄症を指摘された.Shaggy aorta,腎機能障害を有していたため,右側は経上腕動脈,エコーガイド下に造影剤非使用で施行し,左側は頚部小切開直視下頚動脈直接穿刺で施行した.周術期合併症を認めず心臓血管外科にてCABGを施行し得た.【結論】重症冠動脈疾患で複数の合併症を有する患者の無症候性両側頚部内頚動脈高度狭窄症に対してCABG術前にCASを行った.CASの方法に工夫を加えることで血行再建を行えた.