抄録
【目的】鎖骨下動脈又は腕頭動脈の閉塞性病変に対するステント併用血管形成術(PTA & stenting)に対する安全性について評価した.【方法】16 例の鎖骨下動脈または腕頭動脈の閉塞性病変に対してPTA & stenting を施行した.術後の神経症状の出現および拡散強調画像(DWI)での高信号領域の出現率を検討した.【結果】全例16 例のうち,左鎖骨下動脈狭窄が8 例,右鎖骨下動脈狭窄が2 例,左鎖骨下動脈閉塞が3 例,右鎖骨下動脈閉塞が1 例,腕頭動脈狭窄が2 例であった.術中に椎骨動脈のprotection は行わなかった.手技的成功率は100%であり,術後の神経症状は認めなかった.DWI の高信号出現率は,鎖骨下動脈狭窄及び腕頭動脈狭窄で0%,鎖骨下動脈閉塞では100%であった.【結論】鎖骨下動脈又は腕頭動脈閉塞性病変の血行再建術時には,完全閉塞病変に対しては椎骨動脈のprotectionを考慮した方が良い.