抄録
【目的】前脈絡叢動脈と後交通動脈の共通幹と内頚動脈の分岐部に発生した未破裂脳動脈瘤に対しコイル塞栓術を行った.この稀な動脈瘤について前脈絡叢動脈の解剖学的バリエーションに関する文献的考察を加え報告する.【症例】73 歳女性,脳ドックで左内頚動脈瘤を指摘された.脳血管撮影で前脈絡叢動脈と後交通動脈の共通幹と内頚動脈との分岐部に動脈瘤を認めた.これに対しコイル塞栓術を施行し良好な転帰が得られた.【結論】前脈絡叢動脈の稀なバリエーションである後交通動脈との共通幹に生じた動脈瘤を経験した.解剖学的知識と3D 回転血管撮影やAllcock test での詳細な術前検討が,この部の瘤の治療において重要である.