抄録
要旨: 【目的】もやもや病に合併した前脈絡叢動脈末梢部動脈瘤に対してコイル塞栓術を行った1 例を報告する.【症例】出血発症のもやもや病に対する脳血管造影にて前脈絡叢動脈末梢部に動脈瘤を認めた.液体塞栓物質による親動脈閉塞を予定し,前脈絡叢動脈の選択的造影を行ったところ,側副血行を介して中大脳動脈の皮質領域が広範に描出された.選択的瘤内塞栓術へと治療を変更し良好な結果を得た.【結論】前脈絡叢動脈末梢部動脈瘤はカテーテルの誘導性や仮性動脈瘤の可能性から親動脈閉塞術が選択されることが多い.もやもや病では前脈絡叢動脈が側副血行を介し中大脳動脈の大部分を灌流する可能性があるため,選択的造影にて側副血行を詳細に検討し治療方針を決定する必要がある.