抄録
背景:パーキンソン病の諸症状は,口腔内状態をより良く保つことを困難にさせたり,嚥下に問題を起こさせたりする.これは,パーキンソン病患者のquality of lifeに影響を与える,今回の研究の目的は,日本のパーキンソン病患者の口腔内状況,口腔保健行動及び嚥下の状況を調査することである.
方法:この研究デザインは,ケースコントロール研究である.調査対象者は,平成25年に,北海道東胆振地域に在住し,特定疾患医療受給者証を所持しているパーキンソン病関連疾患患者200人である.このうち,108人が調査に回答し,60歳以上の100人のパーキンソン病患者をケースとした.コントロールは,平成22年度に北海道十勝地域の市町村で実施した成人歯科健診受診者1034人のうち,60歳以上の708人とした.統計解析は,ロジスティック回帰分析を用い,性・年齢を調整し,オッズ比と95%信頼区間を求め,口腔保健状況をケースとコントロール間で比較した.
結果:(1)健常者に比べて,パーキンソン病患者は,うまく咬めない,歯痛,歯肉出血,口臭,歯並びの悪さ,食片圧入,粘膜腫脹,義歯の不適合等を訴えている者が多かった.(2)パーキンソン病患者は,健常者に比べて歯のない者が多かった.(3)パーキンソン病患者は,健常者に比べて,フッ化物配合歯磨剤を使用する者が多かった.(4)パーキンソン病患者は,健常者に比べて,歯磨き及び義歯の清掃習慣が良かった.(5)パーキンソン病患者の55.6%が,嚥下に問題を抱えていた,
結論:パーキンソン病患者は,口腔内に多くの問題を抱え,嚥下も困難な者が多いことがわかった.保健所は,パーキンソン病患者への訪問を通して,歯科健診及び専門的な口腔ケアを継続していくことが重要である.