2019 年 68 巻 1 号 p. 27-33
日本では,公的医療保険制度で賄われる国民医療費が2013年に40兆円を超え,年々増加している.医療費が増加する理由の一つは人口の高齢化だが,他の要因として,新規の医薬品や医療機器の導入という技術進歩によるものが考えられる.保険収載の判断や償還価格の設定は,厚生労働省が中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問し,医薬品や医療機器の価格設定のルールに基づいて決定される.
2012年に経済評価の応用に関する議論が中医協の新たな部会で開始された.ここでは評価対象とする技術,評価方法,評価結果の活用方法などについて議論されてきた.この議論に基づいて,2016年には7つの医薬品と 6 つの医療機器を対象として費用対効果評価の試行的導入が開始された.評価プロセスでは,まず当該品目の製造企業が分析ガイドラインに基づいて費用効果分析のデータを提出し,これを専門家グループがレビューし,必要に応じて再分析した.これらの結果は費用対効果評価専門組織で議論され最終的な結果が決められた.この結果に基づき,いくつかの品目については価格調整された.
2019年からは,効率的な医療提供を促進するために,医薬品・医療機器の費用対効果評価が制度として導入される見込みである.このようなしくみを意義のあるものにするために,費用対効果に関するエビデンスを提供する組織として,国立保健医療科学院に保健医療経済評価研究センターが設置された.