保健医療科学
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介護政策・研究の動向と課題
エビデンスに基づいた政策推進に向けて
増井 英紀大夛賀 政昭森山 葉子松繁 卓哉
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2019 年 68 巻 1 号 p. 34-44

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抄録

日本において,介護保険制度の受給者数や給付費用が急激に増加しており,制度の持続可能性の観点から問題となっている.また,介護費の地域格差や家族介護者への支援も課題となっている.これらの課題に対応し,エビデンスに基づいた政策を推進し,介護サービスの質や生産性を向上させることや,住民等の参加の下,地域での多様なサービスを充実することが必要となっている.

本稿では,このような観点から,まず,介護保険制度の現状と課題を整理し,「地域資源」と「住民参加」をキーワードとする介護予防・日常生活支援総合事業を紹介する.同事業は,地域の実情に応じて住民等の多様な主体が参画し多様なサービスを充実することにより,地域の支え合いの体制づくりを推進するものである.次に,エビデンスに基づいた政策の推進に向けた動きとして,介護保険制度におけるサービスの質評価(アウトカム評価)及び市町村・都道府県の高齢者に対する自立支援・重度化防止の取組みの評価の仕組みについて考察する.そして,介護サービスやその提供のシステムについてデータによる実証分析をし,様々な視点から科学的に評価すること,すなわち介護におけるヘルスサービスリサーチについて検討する.これらにより,本稿では,日本の介護政策・研究の動向と課題を整理した.

日本社会においては,地域格差が顕在化してくることが避けられない状況にあり,全国一律のサービス体制を維持し続けていくことの意義や「公平性」の概念を検討していく必要があるだろう.また,介護サービスの多様化に伴い,介護の担い手と受け手の関係性は一方向的・固定的な関係から脱却されていく必要があり,住民も含めた連携が重要となる.こうした課題に適切に対処していくうえでも,科学的に実証され,当事者のQOL/当事者の視点を適切に把握した根拠に基づいた対応が必要である

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© 2019 国立保健医療科学院
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