2019 年 68 巻 3 号 p. 250-258
東日本大震災において支援のミスマッチが指摘されたが,その後の熊本地震においても適時,適切な支援の実施は困難であった.このため,厚生労働省から,「大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について」が通知されたところである.我々は,本通知の実施に際して,自治体における地域防災計画及び地域医療計画との整合性を検証するため,シミュレーション技術を用いて,医療機関,避難所レベルにおける保健医療需要を数量として扱える図上演習シナリオを作成し,関係機関の参加の下,災害急性期から慢性期における地方自治体の現行体制の検証を行った.本稿においては,訓練シナリオの作成手順,図上演習注において明らかとなった課題と今後の地域における保健医療対策の強化に向けた取り組みについて報告する.