保健医療科学
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特集
日本における医療技術の費用対効果評価
新HTA制度とC2Hの役割
福田 敬 白岩 健
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 70 巻 1 号 p. 22-27

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抄録

医療技術の進歩は医療費増加の一つの要因となっている.効率的な医療提供を推進するための一つの方策は,医療技術の費用対効果の評価を行い,その結果に基づき意思決定する方法である.一般に医療技術評価(HTA)と呼ばれる.日本ではHTA導入の議論が2010年頃にスタートし,約10年の議論を経て2019年に制度化された.

新HTA制度では,まず製造販売業者がデータを提出する必要がある.提出されたデータについて国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センターおよび学術グループがレビューを行う.この結果に基づき中央社会保険医療協議会(中医協)の費用対効果評価専門組織が分析の科学的妥当性を検討し,増分費用効果比(ICER)の段を確定する.

分析対象となるのは中医協において新規に保険収載される医薬品および医療機器で,一定の条件を満たすものが選定される.分析結果は保険償還の可否ではなく,償還価格の調整に用いられる.ICERが500万円/QALYを超えるものについて価格調整の対象となるが,希少疾患や小児特有の疾患および抗がん剤については750万円/QALYを超えるものが対象となる.

このような費用対効果評価制度を実施するために,2018年に国立保健医療科学院に保健医療経済評価研究センター(C2H)が設置された.

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© 2021 国立保健医療科学院
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