目的:食品のモニタリングデータを用いて東京電力福島第一原子力発電所事故後に実施された公衆衛生政策の効果を検証する.
方法:2011年から2019年までの間での国民健康・栄養調査による食品の摂取量と各都道府県が毎年 6 月にサンプリングした食品中の放射性物質濃度のモニタリングデータを用いて,住民が経口摂取した放射性物質の量を求め,線量に換算した.また,1介入を行わない場合の全食品モニタリングデータを用いて算出した線量と2制限を適用した場合の線量の差異により公衆衛生政策の効果を検証した.
結果:2011年 6 月の福島県の成人男性の預託実効線量の中央値は18.3μSv(規制あり)と推定された.食品の出荷制限の効果は,2011年の福島県では,中央値人口で42.2%であった.
結論:食品の出荷制限による線量低減は,2011年 6 月でもっとも大きく福島県の人口の中央値で42.2%であり,公衆衛生上のリスク低減効果を示した.