2021 年 70 巻 2 号 p. 130-140
福島県では,原子力災害によって生じた放射性物質の加工食品中の管理をHACCPの考え方に基づいて行うため,食品衛生法改正によって制度化されたHACCPに沿った衛生管理に,放射性物質を化学的ハザードとして位置付け,その管理手法を組み入れた独自の衛生管理モデル「ふくしま食品衛生管理モデル(ふくしまHACCP)」を構築した.HACCPの導入率が比較的低い中小企業の食品等事業者を対象として,ふくしまHACCPの導入を支援するため,県庁及び中核市を含む県内全保健所の食品担当者を構成員とするワーキンググループを立ち上げ,支援事業の検討を行った.その結果,支援事業として,福島県の特産品を選定した導入手引書の作成・配布,ふくしまHACCPアプリの開発・公開,アプリを用いた導入支援研修会の開催等を行った.導入支援研修会では,2020東京オリンピック・パラリンピックに関連性の高い県内の約7,000食品関連施設を選定し,県内各地で119回の研修会を実施し,延べ1,661人が受講した.アプリ内に用意した標準的なテンプレートを事業者が自由に編集し,HACCPに沿った衛生管理計画を作成する実践型の研修会を行ったことにより,事業者自らの施設に合った計画を短時間で策定することが可能となり,効率的な導入支援に大いに寄与したと考えられる.