保健医療科学
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簡易水道事業に対する財政制度の動向
宇野 二朗
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2022 年 71 巻 3 号 p. 208-215

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抄録

目的:水道事業では施設の老朽化が進み,その更新が求められているが,人口が減少する中ではそれは困難を伴う.特に簡易水道事業ではその多くは農山漁村に立地するため問題は先鋭化する.簡易水道事業をめぐる問題は,水源,水道システム,情報システム,人材,組織,財政など多岐にわたり複雑である.本稿では,そのうち簡易水道事業に対する財政制度について取り扱う.簡易水道事業の財政は国庫補助だけでなく,一般会計繰出によって支えられている.本稿では特に一般会計繰出に注目し,それがどのような目的で導入され,発展してきたのか,また,人口減少問題に対してどのように対応しようとしているのか,その動向を解説する.

方法:財政制度の理念や内容を記述するために,本稿では財政制度に関する二次文献に加えて,法令のほか,行政官によって書かれた論考を収集する.

結果:簡易水道事業に対する財政措置には,建設改良に対する財政措置と高料金対策の財政措置がある.建設改良に対する国庫補助は農山村の衛生環境の改善を目的としたものとして導入され,のちに法定された.また,住民の財政負担を軽減するために一般会計繰出とそれに対する財政措置が講じられるようになった.その後,辺地や過疎地域の問題が生じるとそうした地域に対する特別な財政措置が講じられることになる.こうした財政措置は水道の普及に貢献し,水道サービスが普遍的なサービスとしてとらえられるようになると料金格差問題に注目が集まり,その是正のための財政措置が設けられることになった.簡易水道事業では,給水原価,特に資本費にかかる原価が高く,そのため,いずれの財政措置も資本費の大きさに着目したものである.

結論:簡易水道事業には資本費に対する手厚い財政措置が講じられている.簡易水道事業のための財政システムは,国庫補助と市町村の一般会計繰出との連携によって特徴づけられる.

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© 2022 国立保健医療科学院
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