保健医療科学
Online ISSN : 2432-0722
Print ISSN : 1347-6459
ISSN-L : 1347-6459
特集
健康日本21(第二次)最終評価の方法
目標に対する実績値の評価法を中心に
横山 徹爾
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 71 巻 5 号 p. 397-407

詳細
抄録

「健康日本21(第二次)」の最終評価は,1目標に対する実績値の評価,2諸活動の成果の評価,321世紀の健康づくり運動全体としての評価と次期国民健康づくり運動プランに向けての課題の整理,の 3 点について行われた.本稿では都道府県等で健康増進計画の評価を行う際の参考となるように,1の方法を中心に解説する.

「健康日本21(第二次)」では基本的な 5 つの方向性に基づいた具体的な「目標項目」が53個ある.各目標項目について具体的な「指標」が設定され( 1 つの目標項目に性・年齢別など複数の指標が設定されることもある),目標値に向けた指標の実績値や取組の評価を行い,その際,指標の値の動きや特徴的な取組について,図表等のより“見える化・魅せる化”の工夫をした.また,信頼区間の算出や,統計学的検定が可能なものは検定を行い,必要に応じて年齢調整も行った.目標値に対する指標の実績値の評価は,A目標値に達した,B現時点で目標値に達していないが,改善傾向にある(このうち,設定した目標年度までに目標到達が危ぶまれるものを「B*」),C変わらない,D悪化している,E評価困難に区分した.また,個別指標だけでなく目標項目としての総合評価も同様にA~Eに区分した.評価分析結果は目標項目ごとの「評価シート 様式 1 」に,目標値に対する指標の推移,データの出典と算出方法等,分析結果(調査分析上の課題を含む),指標の評価と目標項目の総合評価を整理した.そのうえで,「評価シート 様式 2 」で,①目標項目の評価状況のまとめ,②関連する取組の整理,③各目標項目の評価に係る分析及び領域全体としての評価,④今後の課題,⑤新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた今後の課題について,詳細な評価分析結果を記載した.

さらに,2諸活動の成果の評価では国,地方公共団体,企業・団体等の取組状況の整理・評価を行い,3では各領域での12も踏まえて,健康日本21(第二次)の総合的な評価を行うとともに,健康日本21から続く大きな流れの中で我が国の健康づくり運動を評価し,次期国民健康づくり運動プランに向けての課題を整理した.

これらの“見える化”や年齢調整・検定などについて,同様の分析が可能なツールのいくつかを国立保健医療科学院のWEBサイトで提供し,研修でも扱っているので,都道府県等で健康増進計画の評価を行う際には,必要に応じて参考にしていただきたい.

著者関連情報
© 2022 国立保健医療科学院
前の記事 次の記事
feedback
Top