人口高齢化は世界が直面している課題であるが,特にアジア太平洋地域では変化のペースが速く,65歳以上人口割合は,2050年には現在の約2.5倍に増加し,女性の14%,男性の11%に達すると推定されている.高齢者の増加に伴い,アクティブエイジングに関する取組が進められている一方,介護サービスの導入やアクセス拡大,継続的な提供が共通の課題となっている.これらの解決には,介護の質の評価を行い,その費用対効果等を明らかにしつつ導入する必要があるが,高齢者のケアや介護サービス提供は,社会保障を含めた国の施策や経済・社会・文化的背景に大きく影響を受ける.また,在宅を含めた複数サービスの利用やインフォーマルケアの存在,長期療養高齢者の適切なQOL評価に関する課題等があり,国際的に広く利用可能な評価指標は開発途上である.本稿では,諸外国におけるこれらの評価の動向について概説する.