2024 年 73 巻 5 号 p. 340-349
わが国の歯科口腔保健領域における長期計画である「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第二次 )」は,令和6年度からスタートした.基本的事項(第二次)は,同じく令和6年度から開始される「健康日本21(第三次)」と密接な関連をもって作成されており,① 歯周病を有する者の減少,② よく噛んで食べることができる者の増加,および③ 歯科検診の受診者の増加の3項目を共通目標としている. 歯・口腔の健康づくりプランの枠組みを説明するグランドデザインでは,歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備を最下層とする三層構造で図示されている. 本論文では,健康日本21(第三次)との共通目標として設定された3つの目標を中心に,目標達成に向けた社会環境の整備について考察する.あわせて歯科口腔保健事業の主要な担い手である地方公共団体における組織的基盤の重要性について,著者が行った厚生労働科学研究の成果をもとに検討する.