2016 年 2 巻 1 号 p. 18-24
抑肝散は2005年以降,認知症の周辺症状であるBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)に対して臨床で無作為比較対象試験が行われるようになり,これに伴い基礎研究も最近10年程で急激に進展し各病態モデルで解析が進められている。作用としてベンゾジアゼピン系,セロトニン系,グルタミン酸系,視床下部─下垂体─副腎系などへの関与が解明されつつある。本稿では抑肝散の行動異常に対する効果に焦点を置き,作用別そしてモデル別に分類し概説する。