2018 年 4 巻 1 号 p. 49-53
釣藤散には降圧効果が報告されているが,臨床的な報告は少ない。治療抵抗性の高血圧に対して釣藤散が有効であったくも膜下出血の1例を経験したので報告する。39歳の男性,前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症し,コイル塞栓術を施行した。術後より複数の降圧薬の点滴と内服を併用したが,血圧のコントロールは不良であった。しかし,釣藤散の投与により著明な降圧を認め,降圧薬の内服のみで血圧のコントロールが可能となった。降圧薬による降圧効果が不十分である場合には,釣藤散の併用も考慮してもよいと考える。