脳神経外科と漢方
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症例報告
回復期リハビリテーション病棟における脳卒中後肩手症候群に対する駆瘀血薬の使用経験
横溝 大
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2019 年 5 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

脳卒中後肩手症候群は,脳卒中発症2週から3ヵ月後に好発する疼痛,腫脹 (多くは手指,手背部),熱感,色調変化を伴う上肢に限局した症候群である。本症候群は,しばしばこの時期に療養している回復期リハビリテーション病棟での機能訓練の阻害因子である。また本症候群が進行すれば不可逆な状態へ移行するため,早期に適切な対応をとることが重要である。内服ステロイド治療は本症に対する代表的治療法であるが,時に再発を繰り返したり,副作用への懸念から投与不可な場合がある。今回,私は本症に対して長期安全に使用しうる薬剤として桂枝茯苓丸の投与を試み,症状の改善を示した3症例を経験したので報告する。症例1と2は,内服ステロイド治療で再発を繰り返したため,桂枝茯苓丸を投与したところ,再発を抑制できた症例。症例3は腫脹のみが症状で,桂枝茯苓丸単独で治療を行い,他覚的な腫脹の改善を認めた症例である。

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© 2019 日本脳神経外科漢方医学会
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