2019 年 26 巻 1 号 p. 155-178
統計的機械翻訳において,原言語と目的言語における語順の違いは翻訳精度に大きく影響することが知られている.この問題に対して,翻訳器に入力する前に原言語の語順を並び替える事前並び替え手法が提案されている.先行研究において最高性能を達成している Nakagawa の手法では事前並び替えの学習のために素性テンプレートの設計が必要である.本稿では,データから直接素性ベクトルを学習する Recursive Neural Network を用いた事前並び替え手法を提案する.英日・英仏・英中の言語対を用いた評価実験の結果,英日翻訳では素性テンプレートの設計を必要とせず,Nakagawa の手法と遜色ない精度を達成した.また実験結果の詳細な分析を行い,事前並び替えに影響を与える要因を分析した.そして近年の機械翻訳において主流となっているニューラル機械翻訳における事前並び替えの効果についても検証した.