2019 年 26 巻 1 号 p. 179-206
テキスト中には過去・現在・未来における様々な事象が記述されており,その内容を理解するためにはテキスト中の時間情報を正確に解釈する必要がある.これまで,事象情報と時間情報を関連付けたコーパスが構築されてきたが,これらは開始と終了が比較的明確な事象に着目したものであった.本研究では,網羅的かつ表現力豊かな時間情報アノテーション基準を導入し,京都大学テキストコーパス中の 113 文書に対するアノテーションとその分析を行った.同コーパスには既に述語項関係や共参照関係のアノテーションガなされており,本アノテーションと合わせてテキスト中の事象・エンティティ・時間を対象とした統合的な時間情報解析に活用することが可能となった.