自然言語処理
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動詞型連体修飾表現の“N1N2”への言い換え
片岡 明増山 繁山本 和英
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2000 年 7 巻 4 号 p. 79-98

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抄録

動詞を含む連体修飾表現を“N1N2”という表現に言い換える手法を提案する. 動詞を含む連体修飾節は, 各文を短縮する既存の要約手法において, 削除対象とされている. ところが, 連体修飾節の削除によって, その名詞句の指示対象を同定することが困難になる場合がある. それを表現“N1N2”に言い換えることで, 名詞句の意味を限定し, かつ, 字数を削減することが可能である. 言い換えは, 動詞を削除することによって行う. 表現“N1N2”, では, 語N1とN2の意味関係を示す述語が省略されている場合がある. この省略されうる述語を, 削除可能な動詞として2種類の方法により定義した. 一方では, 表現“N1のN2”の意味構造に対応する動詞を, シソーラスを用いて選択した. また, 他方では, ある語から連想される動詞を定義した. ただし, コーパスから, 名詞とそれが係る動詞との対を抽出し, 共起頻度の高いものを, 名詞から動詞が連想可能であると考えた. これらの削除可能な動詞を用いた言い換えを評価したところ, 再現率63.8%, 適合率61.4%との結果を得た. さらに, 言い換え可能表現の絞り込みを行うことによって適合率は82.9%に改善することが可能であることを示す.

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