2021 年 19 巻 p. 79-95
世界的に見てSTEM分野を学ぶ女性の割合は低いが,その原因についてはよく分かっていない.本研究では,STEM分野に必要とされる7つの能力のジェンダーイメージの有無,およびこれらの能力がSTEMの6分野でどの程度求められるイメージがあるかを調べた.日本とイギリスでオンライン調査を実施した結果,日本とイギリスともに,「論理的思考力」と「計算能力」で男性的イメージが強く,「社会のニーズをとらえる能力」で女性イメージが強かった.分野別の能力については,日本とイギリスともに,物理学と数学で「計算能力」のイメージが強く,生物学では「豊富な知識量」のイメージが強かった.これらの結果は,各分野に特徴的な能力のイメージが国の違いを越えて見られる強固なイメージであることを示すものである.