本稿の目的は,科学論の「第三の波」と呼ばれる立場について説明することである.まず,科学論の三つの波という図式がどのようなものかを説明する.次に,「第三の波」の柱の一つである「専門知論」について事例とともに紹介し,それが我々にいかなる教訓をもたらすかを提示する.続けて,「第三の波」のもう一つの柱である「選択的モダニズム」を取り上げ,我々が知の基準とし科学を選ぶべき理由について,科学者コミュニティの「形成的意志」などの概念を使って説明する.最後に,我々の社会において,科学を民主主義との関係でどのように位置づけたらよいかを論じ,「フクロウ委員会」という新しい専門家助言制度について説明する.