日本神経回路学会誌
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解説
自発的身体活動の生成機構と精神疾患における破綻原理の解明
中村 亨山本 義春
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2013 年 20 巻 3 号 p. 123-134

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抄録

精神行動異常に関する情報は,精神疾患の客観的評価への重要な生体指標となり得ると考えられる.近年,著者らは日常生活下での自発的身体活動の連続計測を行い,身体活動時系列における活動/休息期間の持続時間分布に行動統計則(行動組織化則)が存在することを確認した.これにより,様々な精神疾患における行動異常の特徴を抽出することに成功するとともに,行動統計則の種を超えた普遍性,時計遺伝子変異マウスにおけるヒトうつ病様変化などを報告し,自発的身体活動の生成に関わる行動制御機構の存在とその破綻に関する知見を得た.さらには,確率的優先性待ち行列モデルにより行動統計則とその変化が説明できることを示した.本解説では,これらの研究成果を紹介するとともに,疾患の発症や増悪·軽快といった精神疾患の動的側面を理解するのに有用であると考えられる双極性障害に関する最近の研究成果を報告する.

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© 2013 日本神経回路学会
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