脳は,入力された知覚情報を処理して行動出力する情報処理システムであり,柔軟性の特徴を有する.脳は,外界からの入力情報や覚醒度などの内部状態が多少変動しても,これまで通りの行動出力をすることができ,また,状況に応じて新たな入力-出力関係を学習することもできる.これらの適応には,神経細胞がシナプスを介して結びつき複雑に組み合わさって多細胞の神経回路となり,この神経回路が多脳領野間で結びついて作り上げられる多次元にわたる脳システムにおいて,柔軟性をもつことが大きく貢献すると考えられる.本稿では,行動に関連した神経活動を多次元で評価し,脳システムにおける情報処理の柔軟性を考察する.