日本神経回路学会誌
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アートの理解と塚田の時空間学習則
毛内 拡塚田 稔
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2022 年 29 巻 3 号 p. 112-118

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抄録

本稿では,2021年に神経回路学会の名誉会員にご就任され,2022年の日本神経回路学会学術賞を受賞された塚田稔先生の業績を,「神経科学とアートの理解」という観点から紹介する.塚田先生は,玉川大学名誉教授で,日本神経回路学会の設立にもご尽力された.研究では,Hebb則と双璧をなす,脳で行われている学習の基礎原理である時空間学習則に関する多くの研究を,理論と実験の両側面から主導してきた.また,現役の画家でもあり,数多くの賞に入選し,大学や研究所,ホテル,個人などに多くの作品が収められている.アートを生み出し,理解する脳のしくみについても示唆に富んだ提案をされており,代表的な著書に「芸術脳の科学~脳の可塑性と創造性のダイナミズム~」(講談社ブルーバックス,2015)がある.この度著者(毛内)は,大変幸運なことに,塚田先生のご自宅のアトリエに伺い,直接インタビューを行う機会をいただいた.本稿は,そのインタビューの一部を解説記事としてまとめたものである.絵画を見ているときに脳のどこが働いているのか,神経科学的に考えてから見て絵画がわかるとはどういうことなのかを,「塚田の脳の自己組織化と芸術」の観点からご解説いただき,今後の展開についてもご紹介いただく.

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© 2022 日本神経回路学会
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