日本神経回路学会誌
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解説
狂犬病ウイルストレーシングを用いたマルチスケール神経回路解析
釡口 力小坂田 文隆
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2023 年 30 巻 2 号 p. 56-65

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抄録

脳には膨大な数のニューロンが存在し,それらがシナプスを介して複雑に絡み合うことで神経回路システムを構築している.この神経回路で行われる情報処理が様々な脳機能の基盤となっていることから,神経回路の構造・機能をそれを構成する多様な神経細胞種と関連づけて理解することが脳の仕組みの理解へ繋がると考えられる.我々は神経回路を解析する手法として,経シナプス感染能を有する狂犬病ウイルスベクターを用いた神経回路標識法を開発してきた.近年では,分子生物学,光学,行動心理学,情報学などと組み合わせることにより,分子・細胞・回路・領域・行動を階層的に結びつけるマルチスケールな解析が可能になってきた.本稿では,G欠損狂犬病ウイルスベクターを用いた経シナプストレーシング法とその応用的な解析に焦点を当て,脳神経回路研究の展望について紹介する.

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© 2023 日本神経回路学会
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