抄録
目的:用手的な振動を用いることの効果を高齢者の自律神経系や主観に焦点を当てて検証した.方法:高齢者施設の65歳以上の入居者15名を対象とした.ランダム化クロスオーバー試験にて介入順序の異なるA群およびB群に無作為に割り付け,用手的な振動を介入条件,触れるのみ(振動は加えない)を対照条件とし,それぞれの条件下の効果を比較した.腹臥位となり上半身・下半身計8ヵ所に合計5分間実施した.自律神経の指標として心拍変動解析によるnatural logarithm(In)high-frequency(HF), ln(low-frequency(LF)/HF)を実施前・実施中・実施後に測定し,主観的指標としてvisual analog scale(VAS)で眠気・疲労・痛みを実施前後で評価した.結果:用手的な振動を実施中にlnHF が有意に増加した(p=.021).またVAS 眠気スコアでは,実施後の介入条件と対照条件との比較において有意差を認めた(p=.041).結論:用手的な振動により副交感神経系の活性化や眠気に影響する可能性が示唆された.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→自律神経を指標として機器を用いた振動の効果は報告されているが,用手的振動の効果は明らかにされていないため検証を行った.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 安全かつ簡便に実施できるケアとして,ベッドサイドや在宅での活用が期待される.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→安全かつ効果的な振動刺激を再現する技術や,継続したケアとして応用できる仕組みの開発が望まれる.