抄録
目的:モーションセンサを用いた電子カルテの非接触操作システムを開発した.本システムは手袋を装着したまま操作できるため,時間的・物質的コストの削減が可能になる.方法:本研究で開発したシステムが情報取得に要する平均時間を,従来のマウスを用いた方法での平均所要時間と比較した.測定は情報取得の指示が開始された時点から開始し,情報取得が終了するまでの時間を測定した.参加者は13名(平均年齢35.4 ± 11.1 歳,女性11 名,男性2名)であった.結果:本システムを用いた場合,従来のマウスを用いた場合よりも情報取得に要する時間が約61%短くなった(p<0.05).さらに,非接触で操作でき,操作の度に手袋を付け替える必要がないため,手袋のコスト削減が可能となった.結論:看護業務における電子カルテの非接触操作システムを開発した.従来法にくらべ平均所要時間が短く,手袋のコスト削減が期待できる.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
→ 看護師が看護ケアや手術支援で電子カルテを操作する場合,手袋を付け替える必要があるが,手袋の着脱は業務の中断やコスト,衛生面に課題があった.この解決を目指したシステム開発をテーマとした.
2.研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→ 手袋を外さずに電子カルテを操作できれば,看護業務の効率化とコスト削減につながると考えたこと.
3.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 開発したシステムを雛形として,商品レベルまで改善した場合,手袋の交換をしなくても電子カルテの操作が可能となる.これにより,手袋の交換にかかる物質的コストや衛生リスクを低減する可能性がある.
4.今後どのような技術が必要になるのか?
→(1)既存の電子カルテシステム自体は変更せず,完全に分離したシステムとして運用可能にする.さらに操作性を向上させる必要がある.そのためには人間工学的な検討も必要となる.
(2)操作者の疲労を調査し,より簡便に,誤入力が少ないシステム設計にする必要がある.