抄録
本研究では,スキンブロッティング法(SB 法)によるクレアチンキナーゼ(CK)測定が,運動誘発性筋損傷(EIMD)の局所評価に有用かを検討した.運動習慣のある成人男性)名を対象に,非利き腕の肘屈筋群に高強度の等速性エキセントリック運動を実施し,最大随意筋力,血清CK 活性およびSB 法によるCK 値と,主観的な痛みの指標として遅発性筋肉痛(DOMS)を介入前および運動実施の1~3日後に評価した.SB 法におけるCK 値は介入腕で有意に上昇し(p<0.001),血清CK よりも早期に反応が見られた.SB 法と血清CK との間に有意な相関はなかったが,介入腕のSB 法CK とDOMS の間には運動翌日に有意な正の相関(r=0.740,p=0.02)を認めた.これらの結果より,SB 法は血清評価と異なる生理学的応答を反映し,EIMD の局所的かつ早期評価法として有用な非侵襲的アセスメント手段である可能性が示唆された.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→従来の骨格筋損傷のバイオマーカー評価は採血を用いるが,侵襲的で日々のモニタリングには適さないこと.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 非侵襲的に骨格筋由来のクレアチンキナーゼの動態を評価することで,運動によって生じる筋損傷だけでなく,サルコペニアの予防評価などに応用できる可能性がある.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→損傷マーカーのクレアチンキナーゼだけなく,筋の修復過程を表すバイオマーカーをスキンブロッティング法で評価できるようにすること.