抄録
高齢化社会に伴い,高齢糖尿病患者数が増加し,高齢期に血糖自己測定を導入する機会が増えると考えられる。高齢者向け血糖自己測定器の開発や導入に関する教育のニーズは高い。そこで,診療記録から高齢糖尿病患者の血糖自己測定導入の実態および導入時に生じる困難を調査した。対象者は2013年5月から7月に糖尿病代謝内科病棟に入院した糖尿病患者128名であった。65歳未満,前期高齢者,後期高齢者の間で,血糖自己測定導入者の割合に違いはなかった。一方で,入院中新規に血糖自己測定を導入した26名の診療記録から困難を抽出した結果,65歳未満と高齢者とでは困難の内容が異なり,前期高齢者と後期高齢者は巧緻性の低下,後期高齢者は認知機能の低下が影響している可能性が示唆された。高齢者には巧緻性が必要な血糖測定器の電極部分の改良,作業工程の少ないデバイスの開発,血糖自己測定導入とインスリン自己注射の教育を同時にしないことが必要である。