抄録
糖尿病患者の胼胝予防には足底圧とせん断力を低くコントロールする必要があり,これらは,筋力や歩容が関係する.そこで,足部筋力とわれわれが開発した足底圧,せん断力,角速度同時計測システムで計測したデータとの関係を検証した.運動療法や食事療法の習得を目的とした教育入院中の糖尿病患者4名に対し入院時と退院時における歩行時の足底圧,せん断力,足部と腰部の角速度を測定した.膝下の筋力を推定するため,足の第1趾と第2趾の間の圧迫力が計測可能なチェッカーくん(日伸産業株式会社,埼玉,日本)を用いた.筋力が増強した2名は,腰部ヨー角速度が低下していたが,筋力が減弱した1名は腰部ヨー角速度が上昇していた.足部筋力の増減にかかわらず,足背ピッチ角速度の上昇とせん断力の増加を認めた.腰部ヨー角速度の低下は動揺の少ない安定した歩行を示しており,安定した歩行には足部筋力の増強が効果的な可能性がある.胼胝予防には,筋力の増強だけでなく,歩き方や靴によるせん断力の軽減が必要であることが示唆された.