看護理工学会誌
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論説
看護理工における看護学と理工学の連携
藤江 正克
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2016 年 3 巻 1 号 p. 2-5

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抄録
 ヘルスケアを行うロボットは人と物理的な接触を伴うため,精確に動くためには力学情報が非常に重要で,その情報の基礎は,材料力学,熱力学,流体力学など機械工学のいわゆる「力学」から得られることが外科治療分野では明らかになりつつある.生体数値シミュレーションモデルによって再現した仮想的な手術環境におけるシミュレーションを用いて,術中に生じる変形を術前に予測する.具体的には,術前の画像診断装置から得られた患者の肝臓の形状データから,有限要素法などの構造解析手法を用いて,生体の変形モデルを構築する.この際,生体モデルの各パラメータは,さまざまな患者のパラメータが蓄えられているデータベースから平均値等を利用して決定する.また,診断画像から画像解析等を用いることにより境界条件を特定し,モデルの境界条件として設定する.構築したモデルを用いてシミュレーションを行うことで,最適な刺入位置・刺入角度を探索する.これはヘルスケアの大きな部分を占める看護領域でも今後の重要な研究課題であり,「痛い」だけでなく「痒い」あるいは「怖い」といった評価をこれまでのように定性的にするだけでなく定量的評価ができる技術の構築である.
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© 2016 看護理工学会
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