看護理工学会誌
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原著
腰部加速度変化量に基づく多重課題が歩容バランスに与える影響評価
前田 宏行正源寺 美穂渡辺 哲陽
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2018 年 5 巻 2 号 p. 110-117

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抄録

 本研究では, 腰部で計測された加速度の変化量について調べることで, 多重課題が歩容バランスに与える影響を評価した. 若年健常者の腰部にIMUセンサを装着し, 通常歩行と複数の課題を与えた多重課題条件下歩行の下での腰部加速度を計測した. カルマンフィルタを用いて基準座標系に対するセンサ座標系への姿勢を計算することで歩行時の基準座標系における腰部の加速度を算出した. さらに, 通常歩行時を基準とした場合の多重課題条件下での各軸の加速度振幅の増減率を算出した. その結果, 聴覚課題, 聴覚課題と計算課題の組み合わせが歩行バランスに及ぼす影響が大きいことが示唆された. また, 歩行バランスを維持するために発生する加速度のおもな方向は進行方向に対し左右方向であることが示唆された. さらに, 1つのIMUセンサのみを使用するという簡易なシステムで歩容バランスを評価できる可能性が示唆された.

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© 2018 看護理工学会
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