看護理工学会誌
Online ISSN : 2432-6283
Print ISSN : 2188-4323
ISSN-L : 2188-4323
原著
高齢糖尿病患者における自己血糖測定の困難: 自己血糖測定手技の観察による分析
大江 真琴小池 紀子戸部 浩美大橋 優美子倉持 江美子池田 真理鈴木 亮山内 敏正村山 陵子真田 弘美
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キーワード: 血糖測定, 失敗, 穿刺
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2020 年 7 巻 p. 141-148

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抄録

 超高齢社会のなかで,血糖自己測定(SMBG)を実施する高齢者のためのデバイスや教育方法の開発に対するニーズは高い.本研究の目的はSMBG手技の観察により高齢糖尿病患者のSMBG実施の困難を明らかにすることである.SMBGの手技を録画し,手技を言語化して,生じている困難を帰納的に抽出する質的研究を行った.参加者は65歳以上の高齢糖尿病者29名であった.高齢者には「準備」「電極の挿入」「針の取りはずし」「穿刺」に関連した困難があり,「採血量が不足している」や「針が出てこない」などの失敗を経験していた.SMBG手技を習得したあとでも,高齢者はSMBGの実施に困難を抱えていた.ボタンやレバーを間違ったり,技術が不十分であっても彼らはさまざまな工夫をしながらSMBGを継続していた.定期的な手技の確認とフィードバックが高齢者には必要かもしれない.これらの知見は高齢者に使用しやすいSMBGデバイスを開発する必要性を示している.

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