抄録
静脈炎発症後に生じる発赤の変化については,看護師らにより主観的に評価されるのが通常であり,これは肉眼的所見と呼ばれている.このとき,発赤に対する唯一の評価である肉眼的所見で正しい結果を得るためには,複数人での評価が必要となる.主観的評価における人的負荷を軽減するために,肉眼的所見と同一の評価を行うことができる客観評価尺度が望まれている.本論文では,発赤の時間的変化を伴う撮影画像から抽出した輝度の変化と色の変化を表すL*a*b*色空間のパラメータを用いて,発赤の進行および回復に影響を受けるヒストグラムの形状変化に対応する特徴量を各パラメータの第1四分位数に基づいて定義する.その後,程度の異なる複数の症例を用いることで,定義された特徴量に基づいて,発赤の段階的な変化を判定するための客観的評価尺度を提案する.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→炎症所見の1つである発赤の進行や回復に対しては,現状は主観による評価が行われており,評価者に依存しない定量的な客観評価を行うことが求められているため.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→提案手法により得られる客観評価の結果が,看護の現場で評価を行う際に1つの指標になることに加え,見落としや見誤りなどのヒューマンエラーを防止する効果があると考えられる.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→局所的に生じた発赤に対しても適切な評価が行えることと,発赤を評価するだけでなく,潰瘍化を含めてその進行を予測できるような検出機能を追加したいと考えている.