日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
新規治療標的としてのミクログリアの可能性─うつ病と認知症の共通病態としての神経炎症─
溝口 義人
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 32 巻 1 号 p. 38-43

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抄録
うつ病およびアルツハイマー型認知症(AD)に共通する病態仮説として,神経炎症仮説,BDNF仮説が注目されているが,病態には糖尿病,肥満などの生活習慣病も関与しており,薬物療法以外にも食事,運動,睡眠など日ごろの生活習慣を見直すことが,発症予防や治療において大変重要であると考えられる。また,うつ病およびADの病態にミクログリアの活性化が関与していると示唆されるが,加齢によるミクログリアの老化(microglial senescence)にも着目することが大変重要であり,加齢により低下したミクログリアのアミロイドβ(Amyloid‐β:Aβ)貪食能を高めるなど,残存するミクログリアの機能を保護し,高めることが新規治療標的として重要だと考えられる。
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© 2021 日本生物学的精神医学会
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