原子力バックエンド研究
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研究論文
新第三系ウラン鉱徴地における地下水溶存有機物の蛍光特性
長尾 誠也関 陽児渡部 芳夫
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2009 年 15 巻 2 号 p. 69-76

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抄録

 ウラン鉱徴地の新第三紀堆積岩及び下位の花崗岩を対象としたボーリング孔において, マルチパッカー方式により地表から深さ45m間の11層から地下水を採取し, 分離・濃縮等の前処理なしに溶存有機物の蛍光特性を三次元蛍光分光光度法により調べた. その結果, フルボ酸に相当する蛍光ピークが検出され, 花崗岩地下水では相対蛍光強度が浅層部堆積岩地下水に比べて約2倍高い値であった. しかし, 堆積岩地下水フルボ酸様有機物の蛍光ピークの位置は, 励起波長で花崗岩地下水フルボ酸様有機物に比べて約10nm高波長側に検出された. このことは, 堆積岩地下水とは異なる起源の地下水フルボ酸様有機物が花崗岩地下水へ移行してきたか, あるいは移行中に有機物の構造等が変化した可能性が考えられる. また, 蛍光特性から得られたフルボ酸様有機物の濃度とウラン濃度とに正の相関関係が存在し, フルボ酸様有機物とウランとの錯形成の可能性に関する知見が示唆された.

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© 2009 社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
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