2017 年 24 巻 1 号 p. 39-44
地層処分における緩衝材の必要厚さを評価した.我が国での地層処分の技術的可能性を論じた報告では,緩衝材の厚さを決める因子はオーバーパックの腐食膨張により発生する応力を緩衝する能力であり,オーバーパックが0.19m厚の場合に緩衝材厚さは0.7m必要であった.一方,これまでの著者らの検討でオーバーパックを0.11mに減肉できる可能性があるので,それにともない力学的健全性が確保できるか否かを再評価した.その結果,緩衝材の厚さが0.5mであっても応力緩衝性が維持され,オーバーパックの力学的健全性が確保できることがわかった.人工バリア設定値に対する一連の再評価によって,ガラス固化体の溶解寿命の延伸,オーバーパックおよび緩衝材の厚さ低減の可能性が示された.さらに,再設定した人工バリアに対して核種移行解析を行っても,人工バリアからの核種の放出速度に著しい増加は認められなかった.