原子力バックエンド研究
Online ISSN : 2186-7135
Print ISSN : 1884-7579
ISSN-L : 1343-4446
研究論文
圧密したNa型モンモリロナイト中でのCs+イオンの移行挙動
小崎 完佐藤 大樹藤島 敦佐藤 正知大橋 弘士
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 3 巻 1 号 p. 25-31

詳細
抄録
  高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価を行う上で重要な、ベントナイト緩衝材中の核種移行挙動を検討するため、ベントナイトの主成分であるモンモリロナイト中のCs+イオンの見かけの拡散係数およびその拡散の活性化エネルギーを求めた。得られた拡散の活性化エネルギーは、32.9から52.9kJ mol-1であり、Cs+イオンの自由水中での拡散の活性化エネルギーより大きな値となった。また、活性化エネルギーは乾燥密度1.0、1.2 および1.4×103kg m-3のNa型モンモリロナイト試料ではほぼ一定の値を示すのに対し、乾燥密度がさらに増すとその値は増加した。これらのことは、Na型モンモリロナイト試料中のCs+イオンが自由水中とは異なった過程で拡散していることを示唆するものと考えられる。
  一方、膨潤した圧密Na型モンモリロナイト試料の底面間隔をX線回折法により求めた。その結果、拡散の活性化エネルギーが一定である乾燥密度が1.0、1.2、1.4の試料では、Na型モンモリロナイト試料の層間に3水分子層が認められた。また、活性化エネルギーの値が増加傾向を示す乾燥密度1.6および1.8の試料では層間は2水分子層になることが明らかになった。このことから、Cs+イオンのNa型モンモリロナイト試料中の移行挙動に層間距離が影響を及ぼしている可能性が考えられる。
著者関連情報
© 1996 一般社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
前の記事 次の記事
feedback
Top