クロボク土への
60Co,
85Srおよび
241Amの収着実験をバッチ法で実施し、クロボク土とこれら核種間の相互作用に及ぼすフミン酸の影響について,フミン酸の分子サイズに着目して調べた。
60Coの分配係数(
Kd)はフミン酸の存在によってほとんど影響を受けなかったが,
85Srの
Kdは共存するフミン酸の濃度が高くなるに従って大きくなった。一方、
241Amの
Kdは,クロボク土に対するフミン酸の
Kdと同様に,共存するフミン酸の濃度が高くなるに従って小さくなった。水溶液中で、
241Amは分画分子量30,000~100,000のサイズのフミン酸と安定な結合体を選択的に形成したが,
60Coおよび
85Srは100,000以下のサイズのフミン酸と
241Amに比べて弱く結合することが分かった。これらの結果から,フミン酸との相互作用が小さな
60Coや
85Srの
Kdは陽イオンとフミン酸結合体の両化学種の収着によって主に支配されるが,フミン酸との錯形成能が高い
241Amの
Kdはクロボク土に対するフミン酸の収着特性に依存することが示された。
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