抄録
アクチニド元素イオンの移行において,これを吸着した地下水中のコロイドの挙動は重要な役割を果たす. コロイドの存在は核種の移行を促進する影響を与える一方で,フィルトレーションの効果によって,その移行を遅延させる可能性がある. 多孔質媒体中でのフィルトレーションは,流れ場中から固相粒子表面へのコロイドの付着によって起こる. 付着の挙動はコロイド・固相粒子の表面科学的性質と,溶媒の化学的性質に支配されるが,地下環境下ではこの現象について不明な点が多い. 本研究では,フィルトレーションが多孔質媒体中でのコロイドの移行に与える影響を定量化する際に,流れ場と固相表面の付着コロイドの影響が重要となることを,カラムおよびバッチ実験から明らかにした.