原子力バックエンド研究
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ISSN-L : 1343-4446
5 巻 , 1 号
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総説
  • 杤山 修, 高須 亜紀, 池田 孝夫, 木村 英雄, 佐藤 正知, 長崎 晋也, 中山 真一, 新堀 雄一, 古屋 廣高, 三頭 聰明, 山 ...
    1998 年 5 巻 1 号 p. 3-19
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      放射性廃棄物の地層処分の安全性評価において,現在用いられている核種移行モデルは主として,固体物質による遅延効果を収着分配係数 Kd を用いて評価している. しかしながら,収着はその機構が未だ十分解明されていない現象であるため,移行モデルに Kd を用いるにあたっては,いくつかの注意が必要となる. このような問題は,収着が固体と水の界面あるいはその近傍で起こる不均一系の反応であることと,核種の移行媒体である地質媒体の物理的性質や化学的性質が一様でないことに起因している. 本論文では,収着は固体と水の界面あるいはその近傍で起こる現象であるという理解のもとに,Kd を用いて記述できる収着現象の範囲について考え,さらに原位置での核種移行の評価に対する Kd による記述の妥当性と適用性について考察した.
研究論文
  • 橋爪 修司, 高沢 宏充, 松本 潤子, 馬場 恒孝
    1998 年 5 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      低レベル放射性廃棄物雑固体廃棄体の浸出挙動を検討するため,雑固体廃棄体を模擬した廃棄体を調製する必要がある. このため,モルタルの流動性,圧縮強度,ブリージング率,収縮率に与えるモルタル原材料の配合の影響,および流動性と他の特性の関係,雑固体廃棄物の固型化に適した原材料の配合について検討した. その結果,水/セメント比の増加にしたがい,流動性は良くなり,圧縮強度は低下し,ブリージング率と収縮率は増加する傾向であり,高炉セメントは普通ポルトランドセメントに比べ,水/セメント比がこれら特性に与える影響の大きいことを明らかにした. この原因を高炉セメントに含まれる高炉スラグの微細さおよび高炉セメントのセメント粒子含有量の少なさによるものと推察した. また,混和剤/セメント比の増加にしたがい流動性は良くなるが,混和剤を多く入れても効果は飽和することが明らかとなった. けい砂/セメント比については,この比の増加にしたがい,収縮率が減少する傾向にあり,このことからセメントの水和反応に基づく体積減少がモルタルの収縮の主たる原因であると推定した. なお,高炉セメントを使用した場合,流動性を良くすると,ブリージング水の発生,材料分離や圧縮強度の著しい低下が認められた. これらの結果をもとに,雑固体廃棄物の固型化に用いるモルタルの最適な原材料の配合を,流動性,圧縮強度,ブリージング率,収縮率を考慮して提案した.
  • 橋爪 修司, 松本 潤子, 馬場 恒孝
    1998 年 5 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      原子力発電所から発生する不燃の固体状の低レベル放射性廃棄物は,ドラム缶内にてセメント系充てん材により固型化される計画である. 固型化後,六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにおいて浅地中処分が実施される. モルタルのような高pH環境中で,固体状廃棄物中のアルミニウムは腐食して水素ガスを発生することが良く知られており,ガスの発生は充てん固化体の浸出性に影響を与える可能性が高い. アルミニウムは,固化状廃棄物から除くよう計画されているが,実際には微量のアルミニウムが混入する可能性が高い. 著者らは既にアルミニウムの腐食度とガス発生量に与えるpH,温度の影響が大きいことを明らかにした. また,1 molのアルミニウムの溶解に対して1.5 molの水素ガスが発生する反応は,60℃以下で成立することを明らかにした. 実際の放射性廃棄物のドラム缶内の収納を考慮すると,混入するアルミニウムは鉄が主成分の炭素鋼と接触する可能性が大きいので,アルミニウムからのガス発生挙動に与える鉄との接触の影響について検討した. その結果,モルタル模擬環境中でアルミニウムが鉄と接触すると腐食は増加するがガス発生は極めて抑制されることが明らかとなった. この原因は,アルミニウムが腐食する際のカソード反応が鉄との接触により水素発生反応から酸素還元反応に変化したためと推定され,環境中の溶存酸素の存在が鉄と接触したアルミニウムの腐食およびガス発生挙動に大きく影響を与える.
  • 古市 光昭, 奥津 一夫, 平 和男, 原 啓二
    1998 年 5 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      高レベル廃棄物の地層処分では処分地点の選定・調査後の作業段階を建設・操業・埋戻しの3段階に大別することができる. このうち,埋戻しとは処分場に廃棄体を定置した後,立坑・坑道および周辺岩盤の緩み域が核種の卓越移行経路とならないように埋戻し材,プラグおよびグラウトにより適切にシールし,処分場の安全性を長期にわたり確保することである.
      本論文では,処分場の埋戻しの設計方法を提案した.
  • 鎮守 浩史, 長崎 晋也, 田中 知, 田中 忠夫, 村岡 進
    1998 年 5 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      アクチニド元素イオンの移行において,これを吸着した地下水中のコロイドの挙動は重要な役割を果たす. コロイドの存在は核種の移行を促進する影響を与える一方で,フィルトレーションの効果によって,その移行を遅延させる可能性がある. 多孔質媒体中でのフィルトレーションは,流れ場中から固相粒子表面へのコロイドの付着によって起こる. 付着の挙動はコロイド・固相粒子の表面科学的性質と,溶媒の化学的性質に支配されるが,地下環境下ではこの現象について不明な点が多い. 本研究では,フィルトレーションが多孔質媒体中でのコロイドの移行に与える影響を定量化する際に,流れ場と固相表面の付着コロイドの影響が重要となることを,カラムおよびバッチ実験から明らかにした.
  • 磯部 博志
    1998 年 5 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      アクチノイド元素には,還元環境と酸化的な大気雰囲気とでは異なる挙動を示すものが存在する.その中でも,ウランは天然に存在する元素であり,環境による挙動の違いが知られている.ウランは,酸化雰囲気では6価となり,ウラエルイオン(UO22+)やその錯体を形成して高い溶解度を持つが,還元環境では4価となって6価の場合より溶解度は非常に低くなる.オーストラリア,クンガラ鉱床では還元環境が保たれている一次鉱床と酸化的な環境でウランが移動,再固定した二次鉱床が存在しており,その中間には酸化還元環境が急激に変化する遷移帯が存在している.そこでは,鉱床母岩に副成分として含まれるグラファイトや硫化鉱物が局部的な酸化還元状態に大きな影響を与えている.遷移帯の試料を走査電子顕微鏡で観察した結果,黄鉄鉱の周囲やグラファイトと共存する脈の中に4価のウランを含む球状のウラニナイトやコフィナイトが形成していることが見いだされた.地下水データなどから計算すると,遷移帯に現在存在するウランは流入した地下水中の6価のウランが還元,固定されることによってもたらされたと考えられる.クンガラ鉱床の遷移帯では,グラファイトや黄鉄鉱の存在によって粘土鉱物による吸着よりもはるかに強い固定機構である還元による鉱物化が起こっている.放射性廃棄物の地層処分において,酸化的な地下水が流入し核種を移行させた場合でも,還元性の鉱物を含む緩衝材や地層などと接触することによって,同様の鉱物化による固定化が起きる可能性がある.
  • 長崎 普也, 中田 弘太郎, 津島 悟, 田中 知, 鈴木 篤之
    1998 年 5 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      リング状ケイ酸クラスターの構造,具体的にはSi-O-Si結合の結合距離と結合角度,生成自由エネルギー,赤外吸収スペクトルのSi数依存性について,半経験的分子軌道法計算コードMOPACを用いて評価した.また,アモルファスシリカの赤外吸収スペクトルを温度を変えて実測し,MOPACにより評価した吸収スペクトルと比較した結果,MOPACがアモルファスシリカの構造推定に有効な手法となる可能性があることが示唆された.
技術報告
  • 酒井 利明, 舟橋 哲雄, 渡部 清美, 小澤 幸利, 柏木 誠
    1998 年 5 巻 1 号 p. 81-89
    発行日: 1998/09/01
    公開日: 2014/10/01
    ジャーナル フリー
      原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物のうち固体状廃棄物は,容器に封入し,固型化処理したうえで,充填固化体として埋設処分することが予定されている.固体状廃棄物に含まれる放射性核種は,均質・均一固化体と同じ特徴を有しており,均質・均一固化体に対して確立された放射能評価方法の充填固化体への適用性については既に見通しを得ているため[1],ここでは,最近のデータを反映した充填固化体の放射能評価方法について紹介する.
      固体状廃棄物は,プラント内の発生系統,汚染形態が異なるので,廃棄物のサンプリング・核種分析を行いスケーリングファクタを設定すると共に,核種分析方法の妥当性について確認した.また,充填固化体の放射能濃度を測定するための非破壊測定装置について,その適用性をシミュレーシヨン等により評価し,実機適用が可能であることを確認した.
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