抄録
アクチノイド元素には,還元環境と酸化的な大気雰囲気とでは異なる挙動を示すものが存在する.その中でも,ウランは天然に存在する元素であり,環境による挙動の違いが知られている.ウランは,酸化雰囲気では6価となり,ウラエルイオン(UO22+)やその錯体を形成して高い溶解度を持つが,還元環境では4価となって6価の場合より溶解度は非常に低くなる.オーストラリア,クンガラ鉱床では還元環境が保たれている一次鉱床と酸化的な環境でウランが移動,再固定した二次鉱床が存在しており,その中間には酸化還元環境が急激に変化する遷移帯が存在している.そこでは,鉱床母岩に副成分として含まれるグラファイトや硫化鉱物が局部的な酸化還元状態に大きな影響を与えている.遷移帯の試料を走査電子顕微鏡で観察した結果,黄鉄鉱の周囲やグラファイトと共存する脈の中に4価のウランを含む球状のウラニナイトやコフィナイトが形成していることが見いだされた.地下水データなどから計算すると,遷移帯に現在存在するウランは流入した地下水中の6価のウランが還元,固定されることによってもたらされたと考えられる.クンガラ鉱床の遷移帯では,グラファイトや黄鉄鉱の存在によって粘土鉱物による吸着よりもはるかに強い固定機構である還元による鉱物化が起こっている.放射性廃棄物の地層処分において,酸化的な地下水が流入し核種を移行させた場合でも,還元性の鉱物を含む緩衝材や地層などと接触することによって,同様の鉱物化による固定化が起きる可能性がある.