セメント系材料が溶解することにより,放射性廃棄物処分施設の環境は高アルカリ性となる.セメントの長期間にわたる高アルカリ性維持機能に関する研究は数多く報告されているが,液相に関する検討がほとんどであり,固相の分析が実施されていないことから,溶解過程を明らかにしているとは言いがたく,固相の変化を評価することが必要であると考え、筆者らは遠心力を利用した透水試験技術を用いて比較的短時間で通水変質試験を実施した。本試験技術を用いることによって、溶解に伴う液相と固相の変化を比較的短時間で評価することができた.
通水試験後の固相は変質部分と未変質部分に区別でき,溶解フロントが確認できた.変質部分ではCa(OH)2が消失しており,微細構造が変化していた.通水量と液相組成の関係はPfingstenらが実施した通水試験結果[1]と非常に良く一致し,また,セメントの溶解過程についても両者の試験結果は一致した.