核種の地下水による移流・拡散を想定した地下水シナリオの予測精度の向上のため,透水係数等の移行速度の評価に加え,岩石・岩盤中の移行経路の解析が必要である.この経路の解析において,従来,光学顕微鏡レベルでの可視化・観察が行われてきたが,近年では新しい可視化手法の開発および画像処理技術の向上により,面的はもとより3次元的に,より高い分解能で間隙構造を把握することが出来るようになってきた.そこで本論では,岩石の内部微小構造のデータベース化を意識した各種可視化手法のクロスチェックのために,X線CT装置による内部構造の非破壊観察,着色樹脂を間隙部分に浸透させる方法,共焦点レーザー顕微鏡による間隙可視化,走査型電子顕微鏡による間隙の観察,水銀圧入法による間隙径分布の測定,原子間力顕微鏡による間隙可視化を行った.さらに可視化した間隙の幾何学的情報をもとに,等価管路モデルによる透水係数の推定を行った.各手法のそれぞれの長所・短所の比較の結果,間隙の3次元像を得るためにはマイクロフォーカスX線CTと共焦点レーザー顕微鏡が,透水係数の推定には水銀圧入ポロシメーターとAFMが効果的な装置と言える.