原子力バックエンド研究
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研究論文
コンクリートキャスクの除熱特性評価
丸岡 邦男松永 健一阿部 岩司入野 光博有川 浩玉木 光男
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2002 年 9 巻 1 号 p. 81-88

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抄録

 コンクリートキャスク貯蔵方式では, 使用済燃料をキャニスタに密封収納し, 更にキャニスタをコンクリートキャスクに収納し貯蔵する.本報告では, コンクリートキャスクの除熱性能について, 実物大除熱モデルを用いた除熱特性試験の評価結果を報告した.
 実物大除熱モデルとして製作したコンクリートキャスクの仕様は, PWR用の17×17UO2燃料の中間貯蔵を想定したものであり, キャニスタの発熱量は1基あたり約20kwである.
 実験に先立ち行った三次元熱流動解析による事前解析では, キャニスタ及びコンクリートキャスクを構成する鋼板材料の部材温度は, 最も高温となる部位でも200℃程度であり, 部材強度は解析評価上問題が無いことを確認した.
 定常時の除熱性能確認試験では, 実機で想定されるキャニスタの発熱量変化を考慮して設定したキャニスタ発熱量10~30kwの範囲に対して, コンクリートキャスクが十分な冷却性能を持つことを確認した.また, コンクリートキャスク本体の冷却機能喪失時の特性評価として, 給気口の半数閉塞を仮想して除熱性能確認試験を実施した.試験では, コンクリートキャスク温度は, 閉塞側で全体に10~15℃程度高くなり, キャニスタ側の表面最高温度は約90℃となるが, 部材の健全性に関わるような温度上昇ではないことを確認した.

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© 2002 社団法人日本原子力学会 バックエンド部会
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